今でこそ、こうやって日々、何かを書きつける毎日だけど。
これをやる前は、自分の思いを書くことはなかった、と言いたいところだが、実はそうではなかった。
あくまで、自分の外に表現する場がなかっただけで、基本、書くことは多かったのだ。
特に長く続けていたのが、朝、ノートに書き出す作業。
これを私は朝ノートと読んでいたが、その頃世間では「モーニングページ」というものが流行っていた。
モーニングページとは。
朝起きてすぐ、ノート3ページを埋めること。ただこれだけ。
そして、しばらくの間、読み返しはしないことがルールらしい。
ただこれだけで、自分のやりたいことや思考がはっきりするらしい。
私がやっていた朝ノートは、だいたい2ページを埋める作業だった。
使っていたのは、A4ノートにボールペン。
お気に入りは、コクヨのポジティノート。10冊入りで300円ちょっと。めちゃくちゃ安い。
コクヨノートの書き味はそのまま、ただ値段が安いという優れもの。
もっとも、表紙はちょっと味気ないけど。
読み返したり、大事に取っておく分には向かないが、ただ毎日2ページほどを埋めるだけなら、あまり見た目はこだわらない。安ければ安いほどいいのだ。
ボールペンは、ユニボール0.38のカラーペン。
これも基本、固定。色は、黒だったりピンクだったり緑だったりと、色々。
ただし、モーニングページと違って、読み返しは基本しない。
なぜなら、字が汚すぎて、後から解読することが不可能だからだ。
モーニングページもそうだが、とにかく考えて書かない、が重要な点だ。
今日はこれを書こう、この時、どう思ったっけ?
そういうことを一切考えず、朝起きて顔も洗わず、ペンだけを持っている今の自分の
頭の中に湧いてくるものだけを、思考を通すことなく書きつける。
それは、朝にやる所以でもある。
朝、特に起床すぐだと、思考がまだ働く前なのだ。だから、素直な言葉が湧くのだそうだ。
何も浮かばない時でも、何もない、何も浮かんでこない、書くことがないー!と、それのみを書き続けてみる。
そして、だいたい2ページを25分とかで書き終える。場合によっては、30分以上かけて3ページ埋めることもあった。
とにかくその約30分を、手を動かす以外のことをせず、ひたすら埋めていくのみ。
めっちゃ手が疲れる、それくらいのスピードでやらないと、あっという間に30分は余裕で過ぎる。
しかも、めちゃくちゃ書きたい何かが湧いている時は、とにかくひたすら手を動かさないと、頭のスピードに追い付かないのだ。
何かを考えている思考の速さと同じくらいの速さで、その内容を書かなければならない。
当然、綺麗な字など書けるわけがない。結果、読み返すこともできないほど、無残な字が残されるのだ。
モタモタしていたら、あっという間に思考は流れていってしまう。
瞑想が、浮かんだ思考を全て流して、それに一切とらわれないものだとすると、この朝ノートは、流れゆく思考を考えることなく、ひたすら文字に変えていく作業、というところか。
一見正反対のようで、そこに囚われ続けない、という意味では似ている。
しかし、書きつついつの間にか、考えてしまっていたりする。これはもう、仕方がない。まだまだ修行が足りないのだ。
書いていたのは主に、見たユメの話。
基本、よく眠っていたせいか、いろんなユメを見るわけさ。だから、朝起きて、すぐに「今日のユメは・・・」と続けていた。
そのうち、昔言われて未だに認めたくない言葉とか、されたことだとか。
そんなことを、客観的に、こういうことがあった、みたいに書き出していった。
最初のうちは、自分が被害者であること自体、認めたくなかったから、書くことにものすごく抵抗があった。
書くためには、思い出さないといけないし、でも嫌なことって、思い出すのも嫌でしょ。
ものすごく嫌だったけど、頭や感情が動き出す前に、さっさと手を動かしてノートに書いてしまう。
頭で思うだけじゃ、どうしても現実逃避な前向き思考が出てくるから。
「そんなわけない」とか「気のせいだ」とか。とにかくあるがままの現状を認めようとしないから。気付けば勝手に解釈し出す。
そんな思考を、冷静にノートに書いていると、そういう出来事があった、そういう感情がある、それらを余計な前向き思考抜きで目の前に下ろせるから、なんかスッキリするのだ。
思考には、余計なプライドもある。
ノー思考だと、そういうものを少しだけ取っ払えるような気がするというのが、5年くらい続けた感想だ。
あとは、たんなる時間つぶし。
始めたのが絶賛引きこもり中の時期だったから、起床は決まって昼日中。当時、毎日やることが決まってるルーティン生活に憧れてた。
まあ、結局その時は、寝る前ノートだったけど。
その時点で、朝ノートではなかったけれど、社会に復帰する数か月前から、まともな生活に戻ろうと、とにかく午前中に起きるための目的を作った。
今でも、なんだかんだ、朝には何かしらノートに書くのが習慣。
おかげで、こうやってパソコンで書くようになっても、何も考えずに書けるようになった。
まさに、日記。
読み返さないし、基本推敲もしない。書きっぱなし。
この点の方針も、変わってはいない。