さて、東京は夜の新幹線で帰って来たんだけど。
降りる駅にもう間もなく着くってアナウンスがあって、みんなが下りる支度を始めて、
デッキに人が集まってきてたんですよ。
私も通路に並んで待ってた。
すると、後ろの方から若い男の人が人を押しのけるようにしてデッキに出ようとしてて、なんかその時点で違和感があったんだけど。
するとその人、デッキでバタンと倒れてしまった。
転んだとかじゃなくて、倒れて全然動かない。
デッキに出てた人らが、
「ヤバいんじゃないか?」「非常ボタンは?」
と騒ぎ出したもんで、なんと私の目の前に非常ボタンが!
透明のカバーみたいなのに覆われた赤いボタンがあったので、そんな雰囲気に押されて迷わず押したのでした。
そういう時、人ってのは確かに赤いものに目がいくようになってるのですね。
でも、細かい文字なんて読んでる余裕なんてない。
余裕というか、脳がきちんと情報を認識しないのですね。
「SOS非常用」
このボタンを押すと電車は止まります。
車両火災の場合は、このボタンは押さないで乗務員にお知らせください。
押した後、「車両火災以外の場合は押さないでください」っていう風に脳が勝手に認識して「あ、押したらアカンかったやつや」と動揺してしまった。
後で冷静になったら、車両火災じゃないから非常時として押すのは間違ってないと分かるんだけど。
非常時というのは脳が少しおかしくなることが分かった出来事でした。
で、火災ベルのようなけたたましい警報音というよりは、非常に地味な音で、これで伝わったのかどうかも不明。
停止と書いてる割には電車は普通に走行して駅まで行った。(まあ、本当に駅の手前だったので)
しかも普通にドアも開くから乗客も降りてって。
駅は駅で、「電車が来ましたよ、これから出ますよ」といういつもの軽快な音楽が流れるし、本当に非常事態なのか不明で、私も乗客もどうしていいのか分からなかった。倒れたままだし。
21時を超える夜間だったから乗ってくる人がほぼいなかったのが幸いだけど、もし昼間だったら倒れた人に躓いて二次災害が起きてた気さえする。
最終的に、新幹線を降りてホームで連絡取ってた駅の方に「どこそこで人が倒れてる」旨を告げて帰ったんだけど。
(その時点で向こうは把握してたから、早い内に情報がいったんだと思う)
冷静になってみれば、いくつか取れた手段はあったように思う。
まず1号車と2号車の間だったから、そのままボタン押した後、操縦席に走ればよかったこと。操縦席だか車掌室だか知らんけども。でも、そもそも普通の電車と違って見たことがないから、全然頭に浮かばなかった。
本当に、後になって気付いたことでした。
あと、非常停止ボタンが押されてるのにドアを開けるってどうなの?と。
あのまま大勢の人が入ってきてたら、どうなっていたことか。
ホームでも本当に分かりにくくて、ホームの小さな掲示板みたいな奴に「×」が付いてたので、列車を動かしてはダメなのと、新幹線の外観に赤いランプが点灯してたから、確認のため停止中だと判断できたくらい。
SOS非常ボタンではあったけど、確かに「止まります」と記載はあったけど、駅まで走って止まるならドアを開けない方がよかったのでは?と素人意見では思う。
でも、それこそ逃げなきゃいけない事態なら、閉じ込めるのはもっての他だし。。
正直、別に止めなくても乗務員さんに連絡がつければよかったけど、正直新幹線なんて十何号の車両あるんですよ。
どこに乗務員さんがいるかなんて把握できないし、探して走るのも無理。
直通の連絡手段があればいいんだけど、あったかもしれないけど、そんなのいち乗客が知ってるわけないって。
それこそ、手近な所に赤いボタンがあればそっちに目がいきますって。
新幹線、滅多に乗るもんじゃないんですから。
乗ってる時点で、非日常なんだから。
とりあえず今回は駅がもう見えていたこと、遅延情報もなかったから、おそらく早くに対応してくれたってことで、私がこれ以上できたことは無いんだけど。
他にも連絡のとれる非常手段だとか、トイレ内の非常ボタンを押した方がよかった気もするけど、そんなの冷静になった後だからこそ思いつくことですって!
突発的なリアルタイムでは、そんな視野の広さはない。絶対に。
だから、そういうのも踏まえて車内対策、考えてほしいですね。
何かあった時、まずアクション起こすのは、その場に居合わせた乗客なんだから。
そして、非常事態にいつ遭遇するかなんて分からないこと、その際、頭が少しおかしな認識をしてしまうことを私も身をもって知りました。
それでも非常時には、これまで見聞きした情報やとっさの何かが浮かんで、それが行動に繋がることもあると思うので、この機会に意識の隅に刷り込んでおいて損はないです。