前回の戦場
・嵐山記(一人で保津川下りの旅①)
さて、前回は戦場の末、なんとかトロッコ列車は嵯峨駅を無事に発車。
人気車両でない窓ガラスのある車両は、結構空いてました。
さて、このトロッコ列車は、乗務員さんが始終アナウンスをしてくれます。
川が左手に見えてくると、「左側席のお客さん、撮影チャンスですよ~」と言い、右に見えてくると、「右側席のお客さん、お待たせしました!」と言う。
そして川下りの船が見えてくると、「手を振ってください!バーイバーイ!!」と大げさに盛り上げてくれる。
終点亀岡駅が見えてくると、突如大声で歌い出す。いよっ、この盛り上げ上手。
歌やしゃべりの研修を乗り越えないと、この仕事は務まらんなぁと感心しました。
さて、亀岡駅に着きますと、どうやら私服姿の学生さんの姿が沢山。
ツアーガイドさんが旗を持っている。
修学旅行みたいですね。今どきの修学旅行って私服なのか、それとも制服がない高校なのか。
バスを降りて受付の建物に向かうと、学生(50人くらい?)が待ってました。
受付で予約票を渡すと代わりに番号をもらい、呼ばれるまで待合場で待ちます。
しばらくすると番号が呼ばれ、外に出て船の所まで行きました。
船が3台ほど並んでいて、番号の確認を船頭さん自らがやってました。
その男衆がかっこいい。
この船は定員が30名、それを3人の船頭さんが連れて行ってくれるのです。
私の乗った船は、20代くらいの若い茶髪の兄ちゃん、40、50くらいのベテラン職人的風格のおじさま、そして71歳になる大ベテランのじいさんの3人チーム。
先頭、後部での舵取り、オール係だそうです。
途中、交代して、2時間近くの川の旅を案内してくれます。
この船に、先ほどの修学旅行生と私ら一般の乗客が乗り合わせて、20数名が乗船。
「右側は水がかかるよ」とじいさんが茶化して、私が座った列の右端に座っていた女性(妻)と真ん中に座ってた男性(夫)を入れ替える。
後に、この判断は正解だったと分かります。
あ、私は真ん中付近の左端でした。だから、私・妻・夫の並びで出発。
川下りでは、オール係の人が乗客側を向いて説明してくれたり、先頭の乗客に絡んだりと、楽しませてくれます。
特に今回は先頭が冴えない男子高校生だったので、それはもう結構楽しませてくれました。
修学旅行生のために写真を撮ったり、オールの体験をさせてくれたり。
サービスいっぱい。
話では、修学旅行の学生が圧倒的に多いとのこと。
ちょっと前までは、修学旅行生か外国の観光客ばかりで、日本の単体旅行客はほとんどいなかったらしい。
修学旅行で川下りとは、なんとまあ豪勢ね。
その子たちは前日はUSJに行ってたらしいし、今回の川下りは4000円。
あまり気にしたことなかったけど、いくら割引があったとしても、子ども一人参加させるのに結構な額がかかるのね。。
そういや高校時代の後輩で、金銭が厳しいから修学旅行に行けないと言ってた子がいたわ。
自分で支払う年になって、その負担を改めて実感。
さて、右側は水がかかると言ってましたが、そのとおりでした。
急流になった時、一応サイドにガードのためシートが用意されてて、それで自衛するんだけど間に合わない。
席を変わった旦那の方が、右足に思いっきり水がかかってました。
さらには、その後ろに座った酔っ払い夫婦の旦那の方(こっちも旦那が右端)は、途中「スマホの挙動がおかしい」と。再起動もできないとのこと。
ええー、ちょっと水しぶきかかったくらいで、壊れるってことはないでしょうよ。
私なんて、防水設計で思いっきりお風呂に落としたけど、ピンピンしてるよ。
ノートPCだって、思いっきり水をぶちまけたけど、普通に使えてるし。
まあ、酔っ払いの前の席のおじさんの右足がびっちょびちょだと言うくらいなので、
もしかしたら盛大に水に飲まれたのかもしれない。
呑気にビール飲んでるせいよ。ちなみに、飲酒OKです。
右側に座る方、機械だけは気を付けてね。
あ、左側に座ってた私は、全然問題ありませんでした。
道中は、若い女子を中心に、カメだのカモだのシカだのを見つけては「かわいい!」とはしゃいでました。
めっちゃ遠いのに、ズームして写真をカシャリ。
正直、カメもカモも近所の川と池に30匹以上住み着いている日常、シカだって宮島で目の前を並走してた姿を見てたので、齢30の女はそんなにはしゃぎませんでした。
・・・若いって、いいなぁ。
過去も未来も関係なく、「今ここ」に集中できるからこその純粋さなのでしょう。
それに比べて大人は、すぐなんでも比較してでしか物事を考えられない。
せっかくここに今いるのに「今ここ」を見れてないんですよ。
過去も未来も置いといて、純粋に今を見られれば、もっと打てば響く感想が浮かんでくるものです。
ほら、あの子たちのように輝きを取り戻して!
・・・若さから学ぶことって多いな。そういうのを、若いエネルギーと呼ぶのだろうな。
それにしても、乗り合わせた高校生女子は、わりとふくよかな子が多かったなぁ。
後半は、売店と称したボートが船に横づけし、団子やイカ焼き、お菓子の販売をしてくれます。
旅行中は基本食べない私は、その匂いだけいただきました。
川の水量なんかにもよりますが、今回は2時間くらいで降り場に到着。
ああー、楽しかった。
それにしても、この船頭さんはカッコいい。
若い兄ちゃんの日焼けした細マッチョな体型、ベテランの今が最盛期と言わんばかりの技術力、そしてじいさんの恐るべき技術と話術。
さすがに70代では先頭はやらないけど、オールを後ろ向きで漕ぎつつ我々に話しかけ、
前を見てもいないのに経験と勘で的確に捌いていく姿に、後ろの酔っ払い夫婦も絶賛してました。
もう、男女関係なくメロメロです。酔っ払いもね。
こういう形で技術と観光に携われる仕事って、いいですね。
正直、男がうらやましい。
私が男だったら、絶対にスーツを着る仕事なんてしないわ。
絶対に体力や技術で食う仕事に就いてるね。
この船頭さんは常時募集してるみたいなので、もし興味のある若い男性なら、応募してみてはどうでしょう。
2年間は厳しい修行が待ってるみたいだけど(一応、職人の世界なので)、技術を磨けば75歳まで働けるってよ。
電話1本で休みの連絡もでき、自然に囲まれた所で自分の技術を持って仕事ができるんですよ。
当然、肉体的にも締まるし。きっとモテるはず。
いいなぁ、痺れる。。
ちなみに、数年前にテレビのニュース内でちょっとしたドキュメンタリーを撮られたみたいなので、興味ある若い男性は参考に見てみてもいいかもよ?多分、YouTubeにあるはず。
次回、嵐山を歩きます。