この休み中、パズルだけでなく一応、本も読んでおいた。
村上春樹の「羊をめぐる冒険」を。
今回、初めて読んだってわけではないんだけれど。
もうすっかりストーリーも結末も、何もかもを忘れていたから、ほぼ読んでないのと同じですね。
覚えていたのは、耳モデルの女の子が出てくるってことだけ。
それ以外はサッパリ。
(なんたって、読んだのは10年以上前、まだ10代か20代そこそこだったハズ)
当時読んだ感想のひとつも何も覚えてないけれど、改めて読んでも、多分、おもしろかったんだと思う。
おもしろいというか、なんか次元が違う話だなって感じ。
我々の生きてる次元を超えた先で書かれた物語だなって感じ。
それくらいおもしろいというか、とんでもないところから不意を突いて、ドカンとやられる物語。
1冊を夜眠る前に一気に読み、残りも同じようにして翌日読み終えた。
友人は、昔から比較的、漫画や小説を読んできた方だと勝手に思ってるんだけど、村上春樹はこれまで読んだことがなかったんですって。
私はまあ、5、6作品程度なら、学生時代に読んだってレベルだけど。
だから、「おもしろいのか?」と問われた時、一応は素直に「おもしろい」と答えておいた。
ただ、なんというか、一人称で進んでいく物語なので、そこが苦手ならとっつきにくいのかなと。
主人公の視点を通した現実しか、私たちは見れないわけですよ。
しかもその主人公が、なんか、けっこう、色々を諦めたような。
一言で言えば、非常に複雑な(独特な)内面を持ったひどく偏った男性なので、そこが合わなければ、読み通すのはキツイのかしらと。
だって最後まで、ずっとこの主人公を通した視点で世界が進んでいくんだからさぁ。
この「羊をめぐる冒険」をした主人公は、特にそのきらいがあるかなぁと。
「世界の終わり」の主人公は、そこまでじゃなかった、気もするし。
とにかく、少しおかしな世界と堅実に現実世界が交わったような話を、延々と複雑な精神構造したアラサーの男性目線で進んでくって話。
私はおもしろかった。
大きなどんでん返しもアクションもなく、淡々と確実に進んでいく物語だけど。
「羊をめぐる冒険」って、変なタイトルだなとか、どんなアドベンチャーなんだ?って、ちょっと馬鹿にしたくもなるけれど。
読んでくと、これは間違いなく読んで字のごとく『「羊をめぐる冒険」なんだな』って思えるから不思議。
ここまで「羊」という単語が作中に出てくる小説も、あるまい。
私は羊が好きなので、やっぱりおもしろい小説だと思う。