ひっさ々に、ワンピースの漫画を読み返していたところでした。
新しい環境からの現実逃避先、それは家に閉じこもること。
できることなんて限られます。
気付けば漫画を手に取っていた。
昔から、長期休み明けの前日にはワンピースをよく読んでました。
不幸にも負けずに必死に生きる登場人物を見て、どうにか自分も明日を立ち向かう気持ちを湧かせたかったのかもしれない。
明日なんて来ないでほしい、そういう時に、自らを奮い立たせるのです。
私も夏休み明けは、ひどく憂鬱になる子どもでしたから。
適当に気になる所から読み出し、グランドラインに入りウイスキーピークを越え、アラバスタをも超え、空島にまでやってきました。
ここまでが、怒涛の流れかと思います。
やはり熱心に読んでいたのは10代の時ですから、そこから10年以上の時が流れると見えてくるものも当然変わります。
思わぬところで涙腺が緩んだり。
ちょっとしたことにも、心揺さぶられたり。
個人的に空島編は好きなんですけど、今回特に見直したのが「コニス」ちゃん。
正直、ワンピースの各章のヒロインの中では、ちょっと目立たない子というか、地味な印象があります。性格も大人しめで、戦える訳でもない。
一味と長く時間を共にしたわけでもない。
あまり印象に残らない子だったけれど、今読み返したら、責任を取ることのできる自立したお嬢さんだと分かります。
まずこの子がいなければ、エンジェル島、雲隠れにいた方たちはお亡くなりになってます・・・
すごい偉業を成し遂げています。
神の所から逃げてきた方の遺言を聞いて、1人で武器を持って皆を説得に行くシーンはカッコいい。
「被害者だとうずくまれば生きていられた今までとは違う!!」
「後から誰かを恨んでも…!!自分の命は守れない!!」
迫真のシーンです。
(コミックス30巻 第278話 ”コニス”)
そうなんですよねぇ。
ずっと島に生きてきた人たちは、エネルの言いつけを守っていればとりあえず命の保障があったのです。上に従っていれば、ですね。
でも、今はそうではなくなったことをコニスちゃんは知っています。
だからそれを、必死に伝えようと頑張るのです。
もう上は信用できないから、自分を守るために自分で決断して動け、と。
前半、罪の意識で泣いていたあの子が!
今まで武器を持ったこともないような、ちょっとトロそうな(ウェイバーに最近乗れるようになった)子が、バズーカ構えて大の男に立ち向かう姿は、それはそれはカッコよすぎた。
後から誰かを恨んでも、自分を守ることはできない。たしかに。
大人になって、納得させられる言葉でした。
責任のいらない子どもの頃には、先生に従っていればよかった頃には、流していたセリフなんですけどね。
今になって、その言葉の重さに気付きます。
彼女はその後、一緒に避難するのではなく再び危険な場所へと戻ります。
島が崩壊していく中で、自分がやってしまったことに対しての責任を取ろうと、一味の船で待ち続けるのです。
(その危険な場所に一味を送り込んだのは、上の命令に従ったコニスちゃんでした)
すごい行動力だとは思いませんか?
一味に対して、そんなに恩があるわけでもないんですよ。
ちょっと話しただけの友達です。そんなの友達とは言わん。ただの知り合いや。
他にも、先祖の誇りをかけて自分たちの土地を取り戻そうと戦うシャンドラの戦士もまた、魅力あるキャラクターです。
読んでいると、
「君たちの敵はそれじゃない・・」
「無駄な体力を使うなよ~」
とハラハラするんだけど、こういう、いくつもの勢力が重なる戦いというのは読んでいて心躍りますね。
でもある意味、麦わらの一味は結構関係ないんですけどね。部外者。
その中に首を突っ込んで気の向くままに敵を倒したら、周りの問題が解決されていたというのが、ワンピースの主な流れです。
あれは、彼らは彼らだけの価値観で突き進んでいる部分があるので、何とも不思議な物語です。
それにしても、シャンドラの方たちの先祖を思う心はすごい。
これは幼少期からの酋長からの教育の賜物です。
なかなか誇り高き戦士たちなんです。
ワイパー、マジでカッコいい。
そういう、それぞれの事情なんかも交錯してて、随分と深みのある冒険になっております。
まさにロマンという言葉がぴったり。
ワンピースとは、ロマンを追い求める漫画ですね。
それでいて、明日を立ち向かう勇気をちょっとだけ育んでくれます。