去年、本屋で目立つ場所に配架されており、いつもパラパラとページをめくってた本を血迷って買ってしまった。
とはいえ初めに言っておくが、私は別に左利きでもなんでもない。
右利きである。
右利きなのに、左利き万歳な本を買ってしまった。
この構図がそもそもおもしろい。
そして以前も書いたけど、私は会計時だけ左手が活躍する右利きなので、右利きなのに左利きの本を買い、お金を出すのも受け取るのも全てが左という、なかなかおかしなことが実現してしまった。
あと左と言えば、自転車乗る時にブレーキかけるのも左手。
右手でハンドルを握ってても、ヤバいと思った瞬間には必ず左手でブレーキをしている。
左手は、信用のおける手なのです。
私の左手が活躍するのは、以上のみになります。
そんな人間が左利きの本を読んで得たものとは。
内容としては、脳の使い方の本でした。
左利きは右脳を、右利きは左脳をよく使う。
言語能力は左脳にあたるので、右利きの方が発達しやすく、左利きは少し遅くなる。
その代わり、左利きは右脳を使う割合が増えるので、例えば直感だとか、そういう言葉で表しにくいことが得意だったりする。
でも言語化できなきゃ生かせないので、日々メモをとるなどして言語化することを心がけましょうという。
あと、幼少期より常に「みんなが右手でやってることを、どうすれば左でできるのか」を意識して考える癖がついてるらしいので、工夫する独創性も自然と磨かれているそうな。
何より、右利きよりもたくさん考えているから実は賢いんだと。
以上が本書のまとめであり、以下が読んで思った私の感想である。
左利きってさぁ。
そんな右利きと考え方というか、そういうことって違うの?
そして、そんなに自分を卑下してるの?
できないことばかりにフォーカスを?なんで?
でも私、左利きは目の前の人の動作を鏡のように再現できるから、その点右利きよりは単純でいいかと思ってた。
右利きだと、目の前のお手本を逐一反転させて真似しないとダメだから。
右利きの方が、会得するのに頭を使うもんだと。
分かりやすい例として、ダンスを覚えるとする。
お手本にするダンス動画だって、ダンスを覚える人用に反転バージョンをアップしてる人がいて、そっちを見て覚えた方が早いでしょ?
本来のダンス動画だと、見た物をわざわざ自分の頭で反転させないとダメだから、その分、頭を使うわけよ。だから時間がかかる。
この原理と同様に。
子どもがお箸の持ち方を習うにしても、左利きは、目の前の親の動きをそのまま見た通りに真似ればいいのだから。
本書では「お箸はこう持つんだよ」というセリフとともに、子どもの隣に母親がいるイラストがあったけど、それ、目の前で教えるのでは駄目なの?
左利きは真似が上手と言われてるのは、鏡みたいに動作を全く同じように真似られるからだと思ったけど、そういうのではないの?
「右手でこう持つのを、左手で持つには・・・」なんて頭で考える必要なんてない。
見た通りのものをそのまま視覚的に覚えてきたから、そういうやり方を自然と得意としてるのでは?
だって、子どもなんて右手だか左手だかなんて、わざわざ意識しないでしょ。
逆に右利きの子どもには、目の前で教えたら、いちいち反転させないとダメで。
だから左利きの子と違って、横に座って「こう持つの」と手取り足取り教えた方が効果的だと思うけど。
言葉も使ってね。だから、より言語脳が発達するのでは?
どうなんでしょうね、私、子どもいないからさ。
分かんないけど、右だろうが左だろうが、その子が覚えやすいような形になるよう整えてやればいいだけでは?
そういう意味では、右利きと左利きで使ってる脳や思考などに差が出ても、全然おかしくないとは思う。
難しい話でなくて。
直感の磨き方もいくつか例を挙げてたけど、それだって別に普通のことじゃ?と思うものばかり。
少なくとも、女性なら当たり前にやってそうな印象。
だから女性は直感に優れているといわれたら、そうかもしれないけど。
本書に出てきた「夢の内容を書く」も、昔やってたしなぁ。
直感が大事だってこと、多くの女性なら知ってますよって感じ。
右利きの自分としては、「本当にそれは左利き由来の悩みなの?」と思うところが多々。
ま、体験したことないんで、しょうがないんですけど。
とりあえず、この本は15万部売れたそうなので、それだけの左利きの方が何かしら惹かれたってことなんでしょうな。
それをしかも、医者が書いてるってだけで説得力増し。
根拠があれば、みんな簡単に信じるんだから。
でも正直、世の中の左利きがどういう気持ちを持って生活してるかは知らないけど、自信もっていいんじゃないの?
こんな本が書かれて、しかも売れてるってことは、それだけ少数派である左利きの自分に、何か劣等感的なものを感じてるのかしら。
右だろうと左だろうと、苦手なものは誰だってどこかにあるよ。
むしろ10人に1人しかいない時点で、自分はレアだと思って強気でいればいいのに。
ちなみに私がこれまで日常の中で「左利きなんだ」と認識できたのは、30年生きてきた中でたったの3人。
(それは中学のクラスメイト、職場の方、従弟の3人)
それくらいには珍しいんだから、こんな本なんか読まずとも、もっと自信を持ってほしい。
「すごい左利き」加藤俊徳