時にひきこもる思考

考察とnikki 一言で言えば、ただのエッセイ

ニット帽は何処へ

ニット帽を初めて出先の大阪で寒さのために購入してから、およそ7年。
これまで1年を通して帽子をかぶることなど無かった生活が一変する。
真冬に帽子をかぶると暖かい。そんな当たり前のことに気付いたのは20代半ば。それ以来、冬場にニット帽は欠かせないものとなった。
もちろん当時から耳当てはしていたけれど、頭全体が直接の風から防げるため、ニット帽を採用してからは耳当ては引退だ。

そこから6年ほどは冬には必ずニット帽をかぶっていたが、なぜかこの冬はニット帽をかぶる気がしなかった。ニット帽というありきたりな選択に飽きてしまったのだろうか。


ニットではないにせよ、あの形状の帽子は10月くらいからかぶっていたのに、一切手に取る気がせず。去年の10月~11月はキャスケット帽を。流石に寒さの堪える12月からは、昨年購入した冬素材のキャップを愛用している。
このキャップを昨年買った時から、なんとなく毎年のニット帽に飽き飽きしていたのだろう。スポーツ店で5000円ほどで売られていたキャップを、一瞬だけ迷った末に購入した。
このキャップのいいところは、耳がちょっと隠れるところである。毎年ニット帽をかぶった見飽きた自分の顔に、キャップは新鮮に映った。程よく重みがあり、フィットしている。
一応男女兼用のニューエラで、サイズはおそらくフリー。なのにサイズがピッタリというところに納得できないが、これがなかなか良いのだ。
今では毎日コレである。真冬のキャップ、新鮮でいい。

ニット帽と冬キャップ

冬の帽子たち

そして今日は風が強かった。朝、自転車で通勤していると、前を行く母と娘の自転車から帽子が飛んできた。
降りて拾ってお渡しして、「冬に、ああいう帽子(ツバの広い帽子)は向かないよねぇ」などと職場で話している際にふと思った。
「最近、ニット帽の人を見かけない」ということに。

ニット帽の季節は、まさに今。気温も最高が10度を下回る日々で、風も強い。今の時期を逃して、一体いつにニット帽の出番はあるの?という時期なのに、まるでニット帽が町に存在しない。

おかしい、昨年までの自分は、今の時期はニット帽頼りだった。
いやまて、それはもしかして私だけだったのか?今まで冬はニット帽という思い込みがあったから、あまり周りを気にしたこともなかったが、もしかしてニット帽って、そんなにかぶられてなかった?え、嘘でしょ。
確かに、最近では耳をカバーできるキャップや、もこもことしたキャップも増えている。
あのピッタリとして頭の形が浮き出るようなシルエットや、かぶるだけで髪がぺしゃんこでお洒落もクソもないようなニット帽でなくとも、頭はカバーできる。

それに気付いた本日は帰り道を注意していたが、ニット帽をかぶっていたのは3人のみ。2人が男性、一人はおばあちゃんだった。だいたい3、4人とは遭遇するだろうか。それとも今日が平日のためなのか。休日なら、もっとニット帽人口は増えるのだろうか。(しかし田舎の土地では休日なんて専ら車社会なので、期待はできない)

そもそも若い女子は帽子すらかぶっていない。大きめのマフラーを巻いて、頭はそのまま。髪を後頭部で縛って、大層涼しそうな顔をしている。
たしかに、マフラーにマスクに、イヤホン。これにさらに帽子まで加えると、さすがに頭周りがうっとおしくなるから、その選択は正しいのかもしれない。

それにしても、一体いつからニット帽は消えてしまったのか。
確かに、ちょっと間抜けだよなーとは思う。
ニット帽を深くかぶって頭の形が出るタイプも、浅くかぶって上部が盛り上がる、哺乳瓶を彷彿とさせるタイプも嫌いだ。
イカをかぶってるようにしか見えない。あれをかぶっていて、よく平気でいられるよなと思っていたそんな私がかぶっていたのは、ある程度大き目のニット帽である。

でも、今ではそんなニット帽すら少数派になってしまったかと思うと、如何に王道であっても、いつまでも玉座にはいられないのだなと。
時の流れ、人々の変化に無常を見出すのであった。

「見た目よりも防寒」を決め込んでいた自分としては、自分のダサさにちょっとショックを感じるものの、今は暖かなキャップがあるからいいのだ。