時にひきこもる思考

考察とnikki 一言で言えば、ただのエッセイ

腸に翻弄される②(「腸と脳」感想) 

前回の続き

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さて、胃腸の問題というのは前回も書いたように脳を経由したプログラム反応ですので、場合によってはいくら臓器を詳しく検査しても異常が見られないわけです。

で、筆者らは、遺伝だけでなく幼少期のトラウマやストレス体験なんかも影響している可能性が高いと考えている。

まずは敵を知ると言うことで、幼少期の体験がどう影響を及ぼすのかを検証したみたい。

結果を言うとストレスをかけられた育った動物は、サルでもマウスでも

臆病であり、順々かつ社交性を欠き、抑うつ状態になりやすい」のだという。

逆を言えば、ストレスのない育てられ方をした個体は、ストレスにあまり動じないリラックスした成獣になり、大胆で社交性を持ち、未知なる場所へも出かけていく傾向がみられたそう。

脳が心理的・行動様式に大きな影響を与えるみたいですね。
動物での実験ですが、人間にも一部当てはまる部分はありそう。

その手のことを書いている本は多く。
心理学でも医学でも。

ただこの本の主役は、あくまで腸。

先ほども書いた通り、脳と腸も密接な関係を持っている。
ということは、腸が人間の行動様式に何かしらの影響を与えていても、おかしくはないと。

 

実際に実験でですね。
ストレスを一時的に抱えた動物(群れから離れて独り立ちしたサル)の腸には、平常時に比べて腸内微生物の構成に変化があったそうですよ。特に乳酸菌が減ってたみたい。

ここからも、ストレスがいかに腸に影響を及ぼしているかが分かるでしょう。
ストレスに慣れることで、腸内環境の変化も元に戻るみたいですが。

たしかに新しい環境へ行くと、どうしても2週間ばかりは腸の調子がいつもと違うのは私もつい最近経験したことだけど、なるほど、サルにも当てはまると言うわけですね。そして2週間もしたら、元の調子に戻るのも同じく。

むしろそれは、生き物として自然なことだと納得しました。よかった。

さらに、抗生物質を1週間投与されたマウスの腸内微生物の構成も変化が起きていたそう。

それはこの微生物の構成だけでなく、マウスの行動様式にも変化が見られたらしい。
そして投薬をやめて2週間もすると、微生物構成も行動様式も元に戻ったそう。

行動に変化がみられるというのが、なかなか興味深い。

こういったことから腸内微生物によって、その人の心理的な面や行動にまで影響を与えているのではないか、というのが、この本のメイン部分です。

それはつまり、食べるものによって脳に影響を与えるのではないか。
ということです。

まだまだ研究が始まって歴史は浅いので確実なことは言えないけれど、そうだとしたら毎日の食事が、脳の発達や精神面を左右している可能性だって十分あり得ます。

事実、うつ病自閉症などの脳の疾患患者では、腸に問題を抱えている割合も高いみたいだし。

こうやって考えてみると、腸はただ食事からエネルギーを摂取して排出に向かって動くだけでなく、結構重要な役割を持ってると思いません?
とすると、本当に毎日の食事が・・・

 

この本でも、結局は毎日の食事をよく考えましょうという終わり方をしているけれど、というか、ここ最近読んだ本ではどれにも必ず書かれているけど。

まずは食生活を見直しましょうと。
・・・それが一番難しいことなんですけどね。

世の中はいつだってシンプル。
心身の健康を保つには、まずはまともな食生活から。

ああ耳が痛い。
分かってるのに、なかなか実践できないんですよね。

とりあえず、食べるものは脳にも影響を当てるっぽいんで、死ぬまで頭をフル稼働させて健康に過ごしたい方は、ますます食事に気を遣ってみたらどうでしょうか。

私も、できるだけファーストフードを食べる回数を減らします。

帰宅したら、風呂上りに当たり前のように冷凍庫に直行して食べてたアイスも、できるだけ控えてます。
というか、最近は全然。せいぜい外で食べるくらいですかね。

ここ50年の食生活の変化で、人間周りの環境は随分と変わってしまった。
病気や体質だって、結構な変化が起きているのではないでしょうか。

そして、そんな食生活の中30を超えた私。
私が子供の頃、同じく30前後だった母は人の親であったことを踏まえても、もうちょっとまともな食事をしてた気がする。

というか、出産するかどうかは別として適齢期(を過ぎてるけども)の娘(という年齢もとうに過ぎてるけども)が、こんなアホみたいな食事意識じゃあ、そりゃ一生妊娠なんて無理でしょうと。

マジで、ちょっと食生活を考え直した方がいいんじゃないかナ。
デカ盛りなんて食ってる場合じゃないよ日本人。

腸と脳

危機感つのる書籍でした

『腸と脳』エムラン・メイヤー