前回の話↓
滅茶苦茶なじいさんと別れた後、島を登って目指すのは「ドリマの上」という、築100年の古民家を使ったカフェ。
一言で言っていいか。
すげえ美味かった。
全ての食材を島で自作したものらしく、本当に無駄なものを使っていない。
食事の際に、食材の説明まで丁寧にしてくださる。
野草を食べ、玄米ご飯と共に豆類を食べる、そうすることでお肉を食べずとも、肉類を取るのと同様のタンパク質を摂取できていたらしい。
こうした習慣が、日本人を支えてきたのだという。
日本人は白米を食べ出してから、病気になり出したとのことで、ここでは古代米が出てくる。
写真にはないけど、その古代米のご飯がめちゃくちゃに美味しかった。紫のお米だ。
私、元々白米はそこまで好きではなく、玄米の方が好きなんですよね。
炊き立ての柔らかいご飯が苦手。硬くて冷たいお米が好きなのです。
古代米は、噛み応えがプチプチしてて好きな触感でした。
ここのオーナー、とにかく食に真剣に向き合っている方で、
「避難生活になったら、おにぎりかパンだけ。それじゃあ病気になる。草を食べた方が体にはいい。
でもいきなりは躊躇するだろうから、こんなものでも食べられるってことを伝えるようにしている。
そうしたら、いざとなった時に思い出して栄養が取れるから」
そのひたむきな思いに感動しました。
調理すれば、なんでも美味しく食べられるんですねぇ。
普段偏食する私でさえ美味しく食べられたんだから、これは万人の舌に喜びを与える。
一見すると質素に見えるけど、そういう食事の方が栄養はあり、手間暇がかかっていることが分かります。そういう食事が、日本人の命をつないできたのです。
特に葉っぱとかを揚げたものがサクサクうまかった。
確かに下手なポテチなんかより数倍美味しい。
このプレートで20品目摂れるって。
その手間もあってか、2000円ほどという決して安くはないランチであったけど、身体に色々といいものを詰め込めた気がする。それくらいの価値はある。
それにしても、島民はみんな話好きである。こっちが止めないと、とにかく喋り続ける。
自然の中で生きる人たちって、みんなこうなんでしょうか。
満足してカフェを出た後、友人はさらなる休息を求めて、また別のカフェに向かうこととなった。
あんなにいいものを食べた後すぐに、もう甘いもんですかい。
かくいう私も、おいり(なんかサクサクしたやつ)が乗ったアイスを食す。
これじゃあ、オーナーの思いも半減である。
結局、じいさんの助言の通り有料の展示は一切見ることなく、その浮いたお金で身体にいい食事をいただいて帰ってきた。
正直、どっちのが賢いお金の使い方なのかは人によるけれども、いいお話も聞けたし十分満足である。素敵な島の旅だった!
ちなみに、無料の展示は「漆の家」である。
芸術に興味のない私にとって、この芸術祭って正直どんなもんかなぁと思っていたけれど、こういう場所を訪れることで、普段の我々がおざなりにしてしまった何かを思い出せるきっかけになるのなら、それも込みでアリかもしれない。
もちろん、純粋に別途300円払って作品を楽しむのもいいし、島の散策をするのもいい。
正直言って、こういったイベントがなければ本当に廃れた漁村って感じで、間違っても人は寄り付かなかっただろう。
しかし、こうしたイベントで人が来て盛り上がって、そして来られた方の胸に何か一つでも芽生えたものがあるとすれば、それはもう大成功といってもいいのではないか。
少なくとも、我々には食の大切さと、熱い思いを持った方の情熱を感じることができた。
我々はもう30過ぎているけど、若い方がこういう場所を訪れることで食に対する見方が少しでも変われば、日本もやり直せるかもしれない。
最後に、このイベントが成功だったという証拠の写真でも。
決して大きな船とは言えないだろうけど、これだけの人が島を訪れていたのだから。