遺伝子が変わるって知ってました？
遺伝子というものがどういうものなのか、あまり意識はしないけれど。
この「遺伝子は、変えられる」という本を簡単にまとめると、親から受け継いだ遺伝子ってのは、その特徴をオフにすることも可能ってこと。
いや、まあ確かに遺伝子というと、顔の造詣だとか身長とかの体型だったりだとか。
そういうものがまず浮かぶんだけど。
そうした身体の特徴から命に関わる病まで、我々は受け継いだ遺伝子で決まっているという。
例えば、肥満になりやすい遺伝子を持った親から生まれた子ってのは、やっぱり肥満になりやすいんです。
それはたとえ痩せている方と同じ食生活をしても、やっぱり太ってしまう。
遺伝子がそうなっている。
確かに田舎の方だと、よく休日に「親子なんだろうなぁ」と思われる体型の方ってよく見かける。
そういうのは、分かりやすい遺伝なんでしょうね。
しかし、例えば母親が妊娠している時に、ちょっとした食事の工夫なんかを行うことで、その肥満になりやすい遺伝子そのものは子どもに引き継がれたとしても、その遺伝子作用をオフにすることは可能ってこと。
遺伝子で受け継いだからといって、必ずしもその特徴が現れるとは言いきれないというのが、この本でも書かれている「エピジェネティクス」という近年注目を浴びている研究なのだそうです。
この、受け継いだ遺伝子には、確かにこういう疾患を発生させるものや、特徴が見られるであろうものがあったとしても、それが必ずしも、その子に見られる特徴とは言い切れない。
こういうのを「遺伝子の発現率」と言うそうな。
ちなみに、この著者に言わせるとみんなが中学で習った「メンデルの法則」って間違ってるそうです。
発現率というものを見落としてるんですって。
科学ってのは、随時情報は更新されてくみたいですね。
だから一時期の科学だけを頭に持ってたら、思わぬところで恥をかいてしまいそうだ。
個人的におもしろかった実験として、実はトラウマも遺伝するのって知ってました？
マウスの実験があったのだけど、幼少期にトラウマを与えられたマウスは適応障害が見られるようになる。
そしてそのマウスが妊娠して子どもを産むと、何も知らないはずの子マウスも親同様の振舞いが見られるのですって。
そして人間の場合だと、例えばいじめに遭った経験のある子どもは、生涯にわたってその影響を受ける。
それは記憶的なものだけでなく、ストレスを感じた時に出すコルチゾール量だとかに影響を与えてしまう。
マウスの実験だと子マウスにも影響が出たが、はて人間の場合どうなんでしょう？
生涯にわたってどころでは、ないのかもしれない。
そうなると、子孫が続く限り賠償金を払ってもらう必要がありますな。
ちなみに、この遺伝子の発現率ってのは、こういったストレスや普段の食事でいとも簡単に変わるものらしく、なかなか気を抜けませんね。
人間の肉体ってのは、もっとがっしりと大地に根付いたものだと思っていたけれど、案外、水面をゆらゆらと漂っているようなものかもしれない。
不安定で簡単に影響を受けるけれど、その分、柔軟性も持ち合わせている。
また、ちょっとした思考なんかでも脳の信号が変わってくるので、やっぱり、こうした外部環境による人体への影響ってのは馬鹿にできないものです。
だからといって、今更いじめられた過去が無くなるわけでもないし。
いくら気持ちだけ前向きにとらえても、身体が覚えてるんじゃあどうしようもない。
なかなか興味深い内容の本でした。
この本は遺伝に詳しいお医者さんが書いた本で、世の中には遺伝子上の欠陥のせいで、
特殊な体質、病を抱えた方が沢山おられるようで。
そして一見健康な方であっても、必ずどこかしらには遺伝子上で変異が見られる。
それはもう、平均的な人間なんて存在しないと言い切れるほどに。
ちょっと人より目が離れているだけでとある疾患になるし、私の右手相だって実は遺伝子のちょっとした変異である。左は違うからね。
こうしたことは、遺伝子を調べればより正確に分かるらしいけれども。
とにかく人には人のそれぞれの遺伝子があって、しかも簡単に変わってしまうから、同じ人間など一人もいないってことだ。
食べ物との相性もだし、薬の効き方だって違う。
これらは全て平均という物差しで測られ数値化されるけど、平均的な人間なんてどこにも居やしないってことを改めて考えるべきかな。
そりゃそうよ。
世の中にあふれている平均サイズの洋服は、私には大きすぎるのだから。
（←まだパンツのことを引きずっている）
『遺伝子は、変えられる』シャロン・モアレム
