前回の話
・新見記(羅生門を訪ねて)
降ろされた所で待っていると、来た来た、井倉駅から来たバス。
このバスに拾われて、終点の「満奇洞」まで行きます。
やっぱり住宅がちょいちょい並ぶ道を器用に走行しながら、さらなる山方面へと向かいます。
満奇洞で降りますと、運転手のおっちゃんが次のバスは1時間後になることを教えてくれました。
それを逃すと最終便までお預けで、その頃にはあたりのお店も何もなくなるので、1時間後のバスに乗った方がいいと。
案外、それくらいでも回れてしまうよ!と。
もちろん、そんな田舎事情なバスの時間含めた私の計画は完璧ですので、十分把握もしてましたが、それでもその心遣いに感謝。
ありがとう、おっちゃん。
田舎の観光地の運転手のおっちゃんは、基本親切だわぁ。
(客が大層頼りなさそうな私しかいないせいでもある)
目的の満奇洞は、結構有名な鍾乳洞。
井倉洞同様、ライトアップされている鍾乳洞になります。
八つ墓村のロケ地にもなったらしく、さらに幻想的な洞内では「恋人の聖地」に認定されたスポットがあるのだとか。
だからでしょうか。
そこへ向かっている人は、必ず2人組です。
しかも若いカップル。
おまけに美男美女ときた。
今更気にしませんけど。
それにしても平日にしては、まあまあカップルを見かけました。
これまでの名所よりも、田舎にしては人が集まっている感じ。
満奇洞には、坂をちょっとだけ上がっていきます。
その途中にチケット売り場の自動販売機が置いてあって、そこで買い求めた後、入り口まで登っていく。
いざ、満奇洞を探検!
入った瞬間から、鮮やかなライトが照らしています。いきなり休憩所ってのも斬新だけど。
この鍾乳洞は、入り口と出口が一緒のタイプ。
これまでの鍾乳洞と違って、前には人がいるので一応は気を使います。
ライトは色が徐々に変わるらしく、たしかに幻想的っちゃ、そうなのかもしれません。
一言でいうと、平べったい鍾乳洞です。横穴の洞窟の冒険って感じ。
井倉洞や龍河洞が上下に高い鍾乳洞なら、ここはとにかく平ら。
平らだけど、順路がどうなっているのか、だいたいは大きく一周して入り口へと戻っていくルートになるのでしょうが、順路がややこしく道が2手に分かれてたり、ここは通っていいものなのかと、ちょっとした探検気分。
階段の類がないので、危険もなく安心。
ただ天井は低い所があり、腰をかがめないと進めないけどね。
そして途中には赤い欄干があって、おそらくそこが特徴というか、撮影スポットだと思われます。
遠目に見ると、こう。
この先に、おそらくハートっぽくなっている場所があるはずだけど、そういうの、2人で来ていては写真に収められないかと。
第三者を連れていくべきですね。
全長400メートル程度、かつ狭く人もまあまあいるので、そんなに時間をかけていられる場所ではなく。流れ作業のように見学することになります。
これなら1時間後のバスにも余裕で間に合いそう。
途中、一人で来ている若い男子を発見。
お互い、独り者同士。
熱心に写真を撮っている。たしかに、井倉洞よりも照明の趣味はいいし、幻想的の部類に入るかも。
でも、もうちょっと時間をかけて堪能したかったとは思う。
バスの時間がどうしてもね。あと、道幅が狭いため立ち止まりにくいのも。
やはりカップルが写真を撮っている風景をまあまあ見られるので、なんか避けて通りにくいんですよ。終わるのをつい待ってしまいます。狭いので。
ここを訪れる人は、99%が車でしょう。
車で来ていたら、井倉洞、満奇洞、さらにもう一ヵ所遠くないところに鍾乳洞があるみたいなので回り切ることもできると思うけど、そんなに1日で鍾乳洞ばっかりじゃお腹一杯にならない?
胸やけしそうね。
さて、今回は羅生門という鍾乳洞だったものの成れの果てを見た後に、人に飼いならされた鍾乳洞を見てきました。
自然に帰っていく鍾乳洞もいいし、うまく利用して人を呼びこむ鍾乳洞も、それはそれでたくましい。
まさに、共存か、そうでないか。
ひとたび飲まれてしまうと、もう人は手を出せなくなる。
それくらいの圧倒さが鍾乳洞だったものにはあったし、それに近づくことさえできない人間の弱さもあった。
まあ羅生門に関しては、自然へと返していくのが正しい道なんだろうなとは思う。
もう、放っておいてやろうという気分です。
だから井倉洞みたく趣味の悪い照明を沢山照らして盛り上げようとするのは分かるけど・・・
あそこも結構な自然の中にあるのに、いざ入ってみたら照明の山なんだから違和感がちょっと。
それでも、満奇洞よりははるかに面白いです。
長い冒険になるし、最後まで楽しめる鍾乳洞かと思います。
そしてやっぱり鍾乳洞って楽しい。
暗い場所が好きなのと、その先に何があるのかと胸が躍るからかもしれません。探索好きなのです。
電車に合わせてバスは運航してるので、バスを降りたらスムーズに電車がやってきます。券売機はありません。
迎えに来てくれた帰りの電車。
なんか可愛らしかった。
~END~