漫画『この世界の片隅に』で、さりげなく好きな言葉がある。
いや、そもそもこの漫画も、さらっとしか読んでないから細かなシーンは覚えてないけど。
上・中・下巻の中の「下巻」、ちょうど悲劇が起こる巻ね。そこで娘(晴美さん)を失った径子さん。
径子さんは、娘を失った時に近くにいたすずさんを責めて、でも下巻の最後らへんで、
2人で話をすることがあった。
そんなシーン。
大事なとこがぼやけている。
何に対しても、主体性というか、自分で「こうしよう」と思って覚悟して進んで来られなかった。
悪い言葉で言えば、誰かの敷いたレールに乗せられて、のらりくらりと生きてきて、
何か問題があれば、自分でなくてそのレールに自分を乗せた人を恨むという「ろくでなし」。
それは、私のことなんだが。
この径子さんのセリフ。
「自分で選んだ道じゃけえね。」
すごくない?
年で言えば、そんな変わらんはずなのよ。
この径子。
恋愛した末に結婚、その嫁ぎ先で夫に死なれ、実家に戻るも長男は嫁ぎ先に取られたという人。
やっぱり、跡継ぎの男児は必要ですからねー
それでも、それもこれも「自分で選んだ道だから。」と、背中で淡々と語るのだ。
「もう終わったことだから」とでも言いたげに。
おっとなー!
経験してきた女は違うわ。
当時なんて、なかなか自分で人生を選べた女性は、多くなかったであろうに。選んだ道を「不しあわせ」だとは思わないなんて、なかなか言えることじゃない。
ごめんね径子さん。
てっきり、「怪(あやしい)子さん」かと思っていたよ。
けったいな名前やなぁと思ったわ。「かいこ」さんかと。
まあね、とにかくよ。
ふり返ってどんな人生だったとしても、「自分で選んだことだから」と言い切りたいよね。
これがさ、他人に敷かれたレールだったならばグチグチ言えるし、責任転嫁でしょ。だから覚悟も一切生まれない。
あーもー、耳が痛い。
そうだよー、あたしゃ、親が敷いたレールを嫌々走ってたんだよー
だから上手くいかなくなったとき、その人を恨むしかないじゃん、いくら
「同意した以上、貴方が選んだことになるのよ」なんて言われても、「そんなの知らないし・・・」っていじけるしかないじゃん。
これまで30年?ずっとそういう感じで、覚悟みたいなものを持って生きてこなかったから、この方のセリフに、なんか羨ましさみたいなものを感じたのよ。
いや、本来こうあるべきなんでしょうよ!
少なくとも、自由と責任を持つことが許されている現代人なら!
・・・そうありたいんだけどね。
自分の人生を自分で生きることって、こういうことらしいよ?
もし、自分じゃなくて誰かが敷いたレールに乗っかってるという自覚がある場合、「でも私がこれを許可した!」って思えばいいんじゃない?
そうすりゃ、ちょっとは主導権を握っていられるかも。