時にひきこもる思考

考察とnikki 一言で言えば、ただのエッセイ

今の世を生きにくい長女達(長女はなぜ「母の呪文」を消せないのか)

ハイハイハイ!私も長女です!

ということで借りてきたこの本。
母の呪文。母のスペル、呪い・・・

なかなかキツそうなタイトル。
だからこそ、借りようかどうか、手に取ろうかどうか実は迷ったのよ。
結果的に借りてみたものの、すごく分かりやすい内容だった。

簡単にまとめると。

母(50・60代)の母の世代では、家で一日中家事やら子どもの面倒で、一日があっという間に過ぎてしまっていた。
そのため、考える時間も悩む時間も含めた「自分の時間」が取れなかった。

しかし、母の世代になると家電が普及したおかげで、家事が簡単にできるようになると、その余った時間で「人生、これでいいのか・・・」と悩むようになり。

その結果、働きに出る者もいれば、子どもに情熱をかけすぎてしまう母が増加したり。

家を継ぐための跡取りを必要としなくなった日本では、異性である息子よりも、話や趣味の合う、そして老後の面倒も見てもらえそうな娘を欲するようになり。

母の思いの全てが娘に行くようになると、子どもの内はそれでもどうにかやっていけた娘は、思春期を迎え、危機に陥るという。

母の期待に応える生き方をしてきた自分が、なんか周りから受け入れられないと思うようになるのだ。

大人になっても精神的に自立ができず、母親とべったりか、おかしいことに気付いて母を恨むようになるか。
とりわけ長女というものに、その重圧というかプレッシャーというのがかかるって話だ。

どれも悲惨な話なんすよ。

子どもにとって、母という存在は絶対でしょ。
母の言う父の不満をカウンセラー代わりの聞き役になってしまったり、自慢の娘であろうとひたむきだったり。
そうやって「期待に応えたい」一心で生きてきたのに、幸せになってくのは自分以外の周りばかり。

私自身も、過去にいろいろ考えました。

うまくいかない原因の1つでもあった母を恨み悩んだ結果、結局母も、母の母(私から見た祖母)の長女だったという結論に至りました。

うちの母は、まさに世の中の人が称する「長女」「いいお嫁さん」なんですよ。

母の母(祖母)の地元の田舎で、地味に公務員をしていた父と見合い結婚し、寿退社。
1年ほどで妊娠し、出産。

というね、まさに当時の人が思い描いてたような「立派な、どこへ出しても大丈夫な娘さん」だったわけ。

当時母、21歳。
私もね、21歳くらいまでは、そんな感じだったのよ。
私の場合、母の自慢の娘というよりは、祖母の自慢の孫だったけどね。

結局、就職できずに戻って来た地元で、祖母の伝手で非常勤で働いて、1年ちょっとで辞めて。

そこから色々ありつつ、そこでようやく「何かがおかしい」と気付き、20代後半で親を恨み、30代になって、母も、母の母の長女だったんだと気付くに至る。

別に和解があったとか、会話ができるようになったとか、そういうのはないけど、親の、家のエネルギーをちょっとずつ切り離せるようになろうと、そう思えるようになったかな。

この著書でも、まずは気付き、後は物理的に距離を置くことをお勧めされている。

とにかく互いに依存関係を保持しているままなのが、最もよくないことらしい。

だからこそ、実家に居れば家を出てみるとか、友達のように付き合ってたなら「友達を作ってみたら?」と母に勧めてみるとか。
今の形から、一歩進めてみることが重要だと。

そして気持ち的にも、母の問題は母が解決すべきだと理解することが大切。

心に、今はもういない幻の母が居座ってる場合、自分自身に逐一メッセージを送ってみるのもよい。

あ、別にそういう影響もあって家を出てみたいと思うようになったわけではない。

ただ新しい仕事をやってみたいと思った時、親の存在ってのが「目の上のたんこぶ」というか。

親の目さえなければ挑戦してみたかった職業もあったよなーと思ったから。
私自身も、居もしない幻想の親を勝手に自分の中に飼ってるのかもね。

 

最後に人間関係にとって大事なのは「3点確保」だとも書いてあった。

これは、家と職場の2つだけしか行く場所、頼れる場所がない人間は、どちらかで問題が起きた場合にかなりのストレスを抱え込んでしまうというものらしく。

しかしこれが、趣味の仲間や同じ志の仲間、パートナー、行きつけのお店といった第三の居場所があればあるほど、そのうちのどっかで問題が起きても、適度に受け流せるものだと教えてくれた。

依存するものが1つだけだとそこだけに傾倒するが、依存先が複数あれば、沼にハマらなくて済むという問題とも似ている。

いずれにせよ、30超えてまで「母が~母が~」と言ってるのは大変無様なので、私も自立できるよう頑張りたいです。

同い年の友人も、なんだかんだ家を出られない子で。

兄兄妹で、すでに兄2人はご家庭を持ってるから、今は3人暮らし。
末っ子だけど長女。
仲がいいのは大変よろしいことだけど、やっぱり自立するって大事だよねって。

本人もそれが薄々分かってるみたいだから、おそらく遠くない未来に変化を起こすかもしれない。
しかし私と同様、自ら動くことが苦手なタイプの子なので、起こせないかもしれない。

『長女はなぜ「母の呪文」を消せないのか』大美賀直子