時にひきこもる思考

考察とnikki 一言で言えば、ただのエッセイ

日本は安くてイイ国ネ!(安いニッポン)

気に入って読んでいるブログで、「この本を読んでみました」とあったので私も読んでみました。

安いニッポン」は1年前に発売された新書で、売り上げは5万部を突破。

本は図書館で借りるため、ここ数年一切お金をかけてこなかったけれど、最寄りの図書館ではいつも貸出中。
不審に思っていると、なんと30名もの予約待ちが!!

これを待っていたら半年はかかる。ということで、本屋で買ってきました。
嘘か本当か、200近い予約が入っている本もあるらしい。
もう買えよ、そんなもん。

この本の内容は一言でいうと「日本、安すぎ、ヤバイ」です。

最近は、庶民ですら日本が弱くなったことを知っている。
この本の影響でしょうか。

そして、なぜか未読の私も知っていた。
つまりは、そういう雰囲気は蔓延しているってことでしょう。

簡単に内容をまとめると。

・日本は値上げが怖くてできないよ。だから従業員の給料も上げられないよ。
・でも海外はどんどん優秀な人材にはお金を使ってるから、いい人材はそっちに行くよ。
・日本企業が高いお金を出せても、年功序列の残る日本で海外の若手が多くの給料をもらうことをよく思わない人が多い。
・日本独特の雇用の在り方ではスキルを磨けない。
・給料の交渉も個人でほとんど行われない。一律が原則だから!

→海外の優秀さん、日本企業は眼中になし!

こんなんだから海外の企業に負けに負けて、どんどん国力が下がっていくよ。
新たな人材を日本でも育てたいけどなーんか厳しいねってのが、今の日本です。

このままだと食べ物も全て、高く買ってくれる国の方に優先的に流れていくし(少しでも高く売りたいのは、我々も一緒)、これは食料を作れない日本には、痛いことだなぁ。

どうして、こんな差が付いてしまったんだろう。

気付けば海外の給料、物価は共に上昇。日本だけがデフレのまま。

日本はとても安い国だから、数年前まで多くの外国人が訪日してお金を落としていってくれた。

日本は、いろんな自治体が観光に力を入れていこうとし、国も目標数値を掲げてお金を出してサポートしてる。
地域の魅力を発信したいという若者の声もよく聞く。

けれどもよ?

そんなことしなくても、日本が安上がりってことをアピールすれば普通に訪日客は増えるんじゃない?

日本・地域の魅力を掘って探して頑張ってそれっぽいアピールなんて努力しなくても、「安くてイイモノアルヨ」と怪しげな日本語でひたすら安売りアピールできれば、簡単にお客は来ると思うんだが。。

だって、ちょっとでも安いお店で買うでしょ我々も。

爆買い客。買い物だけでお金を落とす!

もはや緻密なもてなしプランなど必要ないのです。

ダイソーに連れてくだけで向こうは大喜び、余裕のあるちょっとマニアな方には工芸品を。
安くて品がよけりゃ、誰だって飛びつくさ!

つまりは、円高で向こうの化粧品や服が安い安いと飛びついた、かつての日本の姿を今後は外国人に見るのです。

気付けば立場は逆転。買いたたかれる側になります。

これまで出稼ぎに来てくれていた外国人も、これからは日本人が海外に出稼ぎに行くべき時代がもう来ているみたいです。

というか、観光立国、おもてなしっていうと綺麗だけど、結局は接待ってことよね。
不安定。国が先導してるけど。

まあ、別にいいんですけどね?
国を挙げて水商売したって。そういう銭の稼ぎ方もありますよ。

一番おもしろかったのは、非正規雇用が4割にも上がっている現在、本書の中のコラムにて。

「不安定で都合よく切り捨てられるのだから、もっと高額な報酬をもらってもいいはず」的な文章があり、私はハッとしたよ。
この時点で、もう我々の視点が違っていたことに。

日本の元々の企業文化やそれに伴う家庭の在り方がどうしても残っていて、パートやアルバイトなどの非正規としての働きは、どうしても「何かの足しでしかない」というイメージがあるんだよね。

切り捨てられても大元があるから問題ない、そういう考え方が蔓延っているため、非正規は安くて当たり前、切られても文句は言えない、だってそういうものだもの。

でもその時点で、別の捉え方もあったよねっていう。

「好き勝手に都合よく扱われるなら、それでも生活ができるくらいの高い報酬を出せ」

それが正しいかどうかは分からないが、そういう視点があってもおかしくないし、本来ならそうだよな、言われてみれば。

危険な仕事には手当が付くように、いつどうなるか分からない雇用には、それなりの手当が付くべきなのが普通だろう。

そうでないのは、やはり「何かの足しでしかない」「負け犬の行きつく先」というイメージがあるからなんだなー

本人がそう思っているのだから、当然、雑に扱われても何も言わないし、むしろヘコヘコと縋りつくわ。ええ、私のように。

そして、それが社会を甘やかしてる部分でもあるんだと気付くのです。

こうなったら、突然の首きりを前提とした高給取りという立場に上げていくしかないでしょう。
そうすれば正社員を雇うしかなくなりますから。

まあね、お金に縛られない生き方こそが、人間の行きつくゴールだと思うから悲観はしたくないけど、今のままの生活を今後も望んでいる場合、このままでは大分きつくなるってことでしょう。

今更先に進んでいく海外のお尻を追っても仕方がないので、日本は日本なりの理想の国を目指しますか。

その割にはあまりにも不幸せが蔓延しすぎだと思うけど。

『安いニッポン 「価格」が示す停滞』
中藤 玲