前回、そんな感じで下見を終えた翌日、さっそく青山の方へ出直し。
まあ、店員がいないこと。近寄っても来ない。仕方なく呼びに行く。
気になっていたグレーチェックのものを羽織らせてもらうと、うん、やはり素晴らしい。サイズは7号。
下はパンツにするつもりだったので迷うことなくテーパードを選ぶ。
パンツも7号。うん、これまたちょうどよい。ウエストもゆとりがあり、裾にかけて細身になっていくラインは、さすがテーパードシルエット。絶対こっちだよ。
試着室を出て、いざ鏡の前で全身を合わせてみると、うん、なんだろう。
非常に柄柄している。色はいいけれども、素敵なチェックが、なんか煩い。刑事ものの警部さんが着ているようなイメージになってしまった。
ジャケットだけ、あるいはパンツだけなら素敵にスタイリッシュに見えたのに、上下揃うと、どうしてこうも、うーんな印象になるのか。
そうなんだよ、これだよ。
上か下か、どちらかだけなら非常にかっこよく見える人でも、上下同じものを着てしまうことでハウリングを起こす、この現象。
重たい。これに尽きる。
お店に行く前から、これは分かってた。自分もそうだし、パンツスーツを着ている女性を見ても思う。
素敵だったチェックのジャケットも、なんか一気に重たくなる。スーツを買う上で必要だと思っている、軽さ、活動さが見られない。
多分、元々男性用の服だったものを、女性が着るようにしたのがいけないんだと思う。
男性だと、背がある分、足が長く見えるから、上下そろっていても重さを感じないのだ。ついでにいうと、逆三角形体型だし。
それを女性が同じように着るとだなぁ。
背がない分、お尻を隠す分、下半身に脂肪が付きやすい分、腰が広くて足が短い分、どうしても重たさが抜けないのだ。
地がグレーでチェックは黒、素材も毛で冬素材、おまけにパンツ。どう転んでも、重たくしかならない。早々に諦めた。
仕方なく、他のものを見ることにした。
元々、ストライプかチェックの柄が入ったものを着たかったので、無地は眼中になし。
かといって、黒一色だと大学生かイベントのスタッフにしか見えなくなる。
そこで勧められたのが、紺。紺の無地のスーツ。
ジャケットをさらりと羽織ってみると、おや、これはなんか、すごく。カッコいい。
無地なのに、地味な感じもしない。インナーの白が映える。なんだこのカッコよさは。
パンツも着てみると、これまた着慣れた、見慣れた自分が映っている。というのも、紺色のスラックスをすでに所有しており、ちょいちょい着ているのだ。
テーパードラインだから、これまた足に沿って細く見える。問題なし。
いやあ、改めて私は足が細いわ。ええ、上半身に比べてよ。
腰が広くてお尻も大きいから、太ももも勝手に太いと思ってたけど、上半身が大きいからそんなに腰が広がって見えず、この手のテーパードだとまっすぐに見える。
それにしても、ああ、どうしてこうも、紺色が似合ってしまうのか。ジャケットを合わせてみても、カッコよさは増すばかり。ヒールなんて履かなくても、十分にカッコよくスラリと見える。
ついでに、黒に近いグレーも着てみた。
こっちも悪くない。真っ黒ほど地味でもなく、かしこまった感じもなく、グレーほどカジュアルでもない。限りなく黒に近いから、フォーマル感もある。これは迷う。
迷うけれど、結局さ、黒のスーツって、久々にタンスの底から引っ張り出してきました感があるのよねぇ。
普段カジュアルな服の主婦が、急な通夜に呼ばれて着てきましたみたいな。
これが嫌で、黒一色のスーツからは卒業しようとスーツを買いに来たのに、黒系だと意味がない。単なる買い直しである。
鏡の前で悩んだ挙句、結局、選んでしまったのは紺色でした。
まあ、どうして紺色がこんなにもしっくりカッコよくなってしまうのだろう。
本当にスタイリッシュ。いや、こんなにもカッコよく決めてしまって、私はこれを来てどこに行くのでしょう。
しかも、すでに紺のスラックスは無地とチェックの2本を持っているのに、紺ばかりそろえてどうするつもりなんでしょう。