時にひきこもる思考

考察とnikki 一言で言えば、ただのエッセイ

革命児、現る

仕事場の別部署に、この春から新人さんが来ている。

20代半ば、外国語大学を出て留学経験もあり、卒業後も事務で英語を使って仕事をしていたらしく、見た感じは大変可愛らしいけれども、しっかりとしたお嬢さんである。

そんな方と、ここしばらく作業をご一緒している。

実は、かなり仕事ができる方なのではないか、と思ったのは、そうした作業の準備段階から。

これまで、少なからず手作業でやっていたものや、PCで作成後印刷して渡していた回答の必要な社内書類を、彼女が担当する分を一気にデジタル化してしまったからだ。
保守的な人が多いためか、郵送の準備にしろ連絡文書にしろ、とにかく手作業が多かった。
これまで封筒にいちいちハンコを押していたものを印刷にしたり、住所ラベルのシールでさえも、剥がすのが手間だと差し込み印刷に変更。印刷して渡し、その回答を手入力していたものを、Excelファイル添付で直接入力させるようにしたり。

 

すごい。このポテンシャルはすごい。
本人曰く、「手間がかかりすぎる。私は効率化させたい。残業するのが嫌」とのこと。
そのためには、これまでのやり方をやめ、自ら新しいやり方に挑戦し、当然、それに伴う周りからのクレームも覚悟しているのだそうだ。

「従来のやり方でも、いい部分は残して、変えられる部分は一新していかないと」

「変えたがらない人が多いけど、時代に合わせるべきだと思う」

保守的な部類に入る私は、「ほえー」と唸った。

 

このポテンシャル。この情熱。
残業が嫌だという一人の若き人間の力が、これからの時代を拓いてゆく。

私は時代のまさに変わり目を、目の当たりにした。
行動が早く、自分の思いを実践していくパワーに溢れている。
恐らく迷いや悩みもあるだろうが、傍から見れば、そんなもの一切感じさせないような、迷いのなさ。強い信念。突き進む勇気。度胸。

恐れ入った。事務経験者といえど、わずか半年でここまでやってのけるのだから、革命児と言わざるを得ない。

 

とはいえ、世の中に多いのは、私のような保守的なタイプで、彼女のようなタイプは少数派だと思う。

ヒト含めた生き物が、変化を嫌うのは仕方がないことなのだ。

とくに、この近年は変化のスピードが速すぎる。
進化というものは、いつだって緩やかだったのだ。
変わらないことで、生き物はこれまで生き延びてきたのだから、急な変化は恐怖を思い起こすのである。それは不愉快という気持ちとなって表れてくる。

 

でも正直さ、今の社会が今後も続くとして。
単純作業の需要というのも、あると思うんだよね。

心身どこかを患っている場合や、高齢者だったり。高齢の方も働き出した時、PCでの作業やスピードを重視する仕事って、どうなのだろう。
障害を持つ人や高齢者は、今後も働いていくよ。そういう方たちでも輝ける社会を作りたいんでしょ。

これからのスーパー高齢社会。そして福祉社会。
多少は非効率的でも、お金を稼げる場所、社会の一員として貢献できる作業が必要なんじゃないの。
効率を求められるのは、結局は現役の正社員というか。選ばれし者なんだよね。今は、その一部の人たちに負担が行き過ぎている。
かといって、雇う人を増やす余裕もない。
結果的に、膨大な仕事量を少数で回すために効率化を選ぶしかないけれど。。

雇用を守るか、少数で回していく無駄のなさを追求するのか。
私は、揺れるよ。

というか、それくらいの人達に対して同じような作業スピードを求める方が間違っている。目もよく手先も器用な若い人と、厳しい高齢者を一緒に扱うのは失礼だ。

 

とはいえ、そんな彼女であるが、実はそれぞれの作業にかかる時間の計算がうまくいっておらず、時間がかかると思っていた作業が実は早く終わり、早く終えられるであろう作業に、時間がかかっている現実がある。

他人も含めた作業なのだから、個々人の差は仕方がない。おまけに、初めての仕事だしね。計画というものは、頓挫するのが常識である。

彼女の効率的な作業スケジュールは、早くも危機が迫っている。本人は、本日お休みを取っていたので、この現実を知らない。はたして、10月までに終えられるのだろうか?

 

仕方がないので、今後のために、作業にどれだけの手間と時間がかかったのか、メモに残して引き継げるようにしよう。