時にひきこもる思考

考察とnikki 一言で言えば、ただのエッセイ

学校に来られない子たち

子どもの鬱について、前々回、好き勝手に思いを書いて。

そういや、それがどういう病気なのかは分からなかったし、説明もされなかったけど、
小学3年生くらいの時に、学校にほとんど来なかったクラスメイトがいたことを思い出した。

3年の時には顔も知らなかったけど、多分進級しただかのタイミングで、急にその子が登校してきたのだった。不思議な男の子だった。
大人っぽいというか、なんか、少年って感じがしなかった。わんぱくな子どもというよりは、聡明な子ども。観察力があって、私と違って周りに流されず、自分の意見を言えた子だった。

名前だけは知っていたクラスメイト。
でも、例えば2学期のはじまりとかの区切りの際、大抵小学校では目標を立てるでしょ。それを画用紙に書いて、掲示板に貼る、みたいなことをよく先生はやっていたけど。

そこで「頑張って学校に行きたい」と、その子は書いていたようだ。そんなことを、先生がみんなに教えてくれたことを覚えている。
当時は、なんで学校に来られないのかが、よく分かっていなかったし、今でもはっきりと原因がコレだろうとは言えない。流石に決めつけはよくないからね。
でも、学校に行きたいということは、何らかの精神疾患的なものが、その子も持っていたのではないか、と思うのだ。登校してきた時、身体は元気そうだったし。

もちろん朝起きられないとか、精神疾患以外にも学校に行けない病なんて、山ほどあるだろう。でも当時から、学校に行きたくなくて行けないのではなく、行きたいのに行けない、という状況がどういうものなのか、理解はできなかった。

でも、そんな当然の子どもの疑問であっても、私含めたクラスメイトは、別に彼をいじめたり、不審に思ったりはしなかった。彼は、そういう子なんだと受け入れていたと思う。

だからむしろ学校に来た時には、主に男子は、積極的に遊んでいたとさえ思う。
ま、これもハッキリした記憶ではないけど、多分、問題なんてこっち側では起きてなかったはずなんだ。
でも、結局、その子は休みがちだったし、卒業アルバムの写真撮影にも来られなかったし、なかなか登校の定着は難しかったみたい。

 

小学校6年の頃には、また別のクラスメイトの女の子が、学校に途中から来られなくなった。
6年の夏頃までは普通に登校してたし、なんなら話もしたような気がするけど、秋以降、全く来られなくなった。
それはあまりにも急だった。でも、急病をしたとか、そういうのではないと思う。学校には来られないけど、クラスメイトが映画に誘ったと、先生が言ってたから。
その子は、学校に行きたかったのか、行きたくなかったのかは分からないけれど、最終的には学校に来なかった。

とても無口な大人しい、しかし背がスラリと高く、スタイルのいいショートカットの子だった。顔つきも、どこかモデルっぽかった。そして名前がかわいかった。
その子には、映画に誘ってくれる親しい友人たちもいた。交換日記もしてたみたいだし。それでも、学校に行けなくなった。

 

当時は、あまり気にしたことはなかったけれど、そうやって学校に行けない子どもというのは、20年前、もちろんそれ以前からも存在してたんだな、しかもわりと身近に。

私は、とくに中学校は友達もいなくて行きたくなかったけど、どういうわけだか、学校に行けないという病とは無縁だったため、仕方なく通いきってしまった。行きたくなかったけど、行かないという選択肢が、頭になかった。
クラスで孤立してようが、実は陰口叩かれてようが、行きたくないとは思いつつも、実行には移せなかった。

でも気持ちだけでどうにかできるほど簡単なものじゃないと、こうやって見聞を広めた今なら、なんとなく想像ができる。
あの子たちも、そうした思いと身体のチグハグに、小さな頃から悩まされてきたんだなと思うと、なんとも言えない気持ちになる。