久々に、キーボードを引っ張りだしてきて、夜な夜な弾いてみた。
きらきら星のいい感じのピアノ曲があって。楽譜に起こして、弾いてみたのだ。
他に、これまで起こしてきた曲も弾きたかったけど、まるで指が記憶していない。
あれだけ暗譜していた曲たちも、何一つ思い出せない。
ついでに昔好きだった曲も弾いてみたけど、それすらちょっと詰まる部分があるが、これが唯一覚えている曲ってのが悲しい。
本当に、ピアノは残酷だ。
もう、まともに弾かなくなって5年にはなるけれど、それだけの年月で、何もかも忘れてしまった。
スポーツとか他の楽器、その他諸々の勘も、これだけの間離れていたら、当時のようには当然動けないけれど、ピアノほどではないと思う。
鍵盤を前にして、立ち尽くすのみだ。
(楽譜を見て即座に弾ける能力はないため、記憶して指をその通りに動かすという根性でしか演奏できないから、仕方がない)
久々の友達なのに、全く歓迎してくれていない。そんな拒絶感を感じる。
それでも、こうしてピアノを弾いていると、昔のことを思い出す。
就職ができなくて、仕方なく始めた仕事でも、なんかうまくいかなくて。
同時期に入った子が、美人でスタイルも良く、愛想も性格もよく、長く付き合ってる彼氏と近々結婚する予定だと言っていて。
あまりにも自分と違いすぎて、ここまで違うのかと、とてつもない劣等感を感じていて。
だから、なんとか精神を保つために、「私にはこれがある」と、自らを鼓舞してきたのが、このキーボード。
もちろん披露することはなかったため、私の単なる妄想に終わったけど、こうしてあの頃、自分を保ってたな、とか。
そういうことを思い出せば、やっぱり、辞めたくなった原因の職場の人間に対する恨みが湧いてきて。
そして、悲しくもなる。虐げられていた自分に、嘘をついて虚勢張って、何もしてあげられなかった自分に。
今なら、もう少しやりようがあることを知っているんだけどね。
ま、そんな感じで、虚しさと悲しさが湧いてくる、そんなピアノの思い出。
感情に浸るには、持ってこいだ。
そう、音楽とは、気持ちを伝える一つの手段。
相手はいないから、せめて自分に伝われ。