時にひきこもる思考

考察とnikki 一言で言えば、ただのエッセイ

ツイてない叔母の話

実は私の叔母、結構運が悪い。

雨の日に躓いて滑ったり、自転車が滑って転倒したりは日常茶飯事、仕事でも自分が請け負った仕事ばかりがトラブルを起こし、自宅のベランダにはハトが住み着き、やっとの思いで呼んだ業者はいい加減、金のなる木も枯れる。

とにかくツイてない。

私が知る限りでも、ウォーターサーバーのガラスピッチャー的なものを落として割り、床が水浸しになった挙句、一部が浸水して工事案件。ガラスピッチャーも、数千円程度だろうと思っていたら、万札が数枚飛んでいく値段。

気に入って奮発して買ったカーキ色のズボンを洗濯しようと洗剤を用意している最中、なぜか傍にあった漂白剤をこぼしてしまい、これまた偶然にも、そのズボンの上に飛び火させてしまった結果、一部が白く脱色。

あまりにも担当している仕事でトラブルが続くため、見かねた同僚が担当のしている分の一部を交換してくれた途端、これまでトラブル続きだった案件がパタッとなくなり、代わりに引き受けた優良物件の案件で火事が起こる始末。

仕事に関しては、もうこの人はドジでトラブルに巻き込まれてばかりいる人として有名らしい。

トラブルが起こるだけならまだいいが、そのせいで仕事が中断し、いつも時間内に終わらずに残業、休日出勤となる。名誉のために言うが、仕事ができない訳では決してないのだ。ただ運が悪く、トラブルに巻き込まれやすいだけ。

病気もこれまで何度か経験し、ついでに離婚も経験。今は認知症気味の母親と同居するも、日々のストレスと親の介護で休めず、なかなかハードな日々を送っている。

 

上記で書いた一部だけでも結構ツイてない内容。しかしこれくらいなら、まあありうることかなと思える話だが、問題はそんなレベルのトラブルが、ほぼ毎日起こることなのである。つまりは遭遇率がヤバイ。

正直、運が悪いなぁ、かわいそうだなぁとか、いろいろ思ってはいるけれど。
本人は基本楽天家だそうなので、こうしたちょっとしたトラブルも、すぐに記憶の彼方に飛んでいくらしい。

要するに、忘れっぽい、そしてちょっとだけいい加減な性格なのだ。サバっとしていて活動的。子どもの頃から、私はそんな叔母が好きだった。

今でも、おすすめの化粧品を分けてくれたり、お菓子をおすそ分けしてくれたりと、いい人なのである。失敗話も、ネタとして聞く分には楽しい。

 

どちらかというと、失敗やグサッとくる出来事を引きずってしまう繊細な私にとって、叔母のような、荒波をサーフィンで超えていくような性格の叔母のことを、実は憧れていたりする。

うん、確かに憧れる。でも、叔母でなくてよかったと、心の底から思う。

私はすぐに凹むし、感情も簡単に揺さぶられて、結果結構浮き沈みが激しい気性の代わりに、あまりにも大きな衝撃はそんなには襲ってこない体質。

一方、ドジな一面はあるが、何が起きてもすぐに忘れる楽観主義でしっかりした叔母は、あまりにも大きな衝撃がしょっちゅう襲ってくる体質。

どっちがいいかは分かれるところだが、こう考えると、乗り越えられる人に、乗り越えられるギリギリの線の試練を神は与えている、とも言える。

 

こんな叔母、最近はさらに大きな衝撃があったらしく、今回ばかりは真剣に悩んでいる様子。

これは、何か悪いものでも憑いているのでは?と思い、一度お祓いに行くべきか、お墓参りに行くべきかで迷い、一応、来週の頭にお墓参りに行く予定を立てた。一応、私も付き合うつもり。過ぎてはいるけど、お彼岸付近ってことで。

と思っていたら、叔母からメール。

「週末から月曜にかけて雨やから、お墓参り無理かも」

・・・まったく、ツイていない。