子どもの頃から、親の干渉もあったろうが、とにかく失敗を避けるように生きてきた人達っていうのは、大人になっても、出来うるなら、小さなリスクすらも取りたがらない。
それだけなら慎重でいいかもしれないが、失敗が怖いから、最初からやりません。
100%成功する見込みがあるもののみ、やってみます。そんな方針を固めていたりする。
それは、子どもの頃から、失敗することで恥ずかしい思いをしただとか。
何かしらの経験からくる、生きた記憶から学んだ知恵なんだと思う。
失敗はできればない方が、気持ちが楽。精神にはとても健康的。
だけれど、失敗のない生き方をするのは、基本的にはありえない。
だって、何事も初めは初心者から始まるのだから。
当然、経験のないことは、成功するか失敗するか分からない。
だから、それならば、やったことがないことはやりません。
そうなるの、すごく分かる。
自分も、失敗はしたくない。
失敗したら、恥ずかしいから。
どこか、冷静に客観的に自分を見ている自分がいて、そこから見て、失敗して恥ずかしい思いを抱いている自分が、たまらなく恥ずかしい。
そんな恥ずかしい思いをするくらいなら、やり慣れた普遍的な行動をとり、いつもカッコいい自分、揺るがない自分でいた方が、いいのだ。
惨めな思いをせずにすむ。そんな自分の方が好きだと思う。
だからこそ、何か新しい挑戦に対して、限りなく100%の成功を目指せる自信がないまま行動するのが憚られるのだ。
どうせやるなら、自信なくおどおどしながら、失敗の可能性が高い状況でやるよりも、自信をもって堂々と、成功を目指せるような心持ち、心理状態でやった方がいい。
その方が、リスクも少ない。なにより、無駄な時間・お金を使ってしまった・・・と後悔しなくてすむ。
結局、これもね、ガッカリしたくないのだ。
失望したくないから、ガッチガチに準備して固めて、とにかく不測の事態が起きないよう備える。
それくらい安心ができた時でしか、自分にゴーサインが出せない。
安心できるから。安心して臨む自分の方が、自信が持てるし、そんな自分の方が好き。
確実性が、とにかく欲しいのだ。
結婚もそう、家探しもそう。テストも、買い物も。
よく、やってみないと分からない、とりあえず、まずはやってみなさいよ、っていうアドバイスがあるけど。
確実性が欲しい人は、無理なんだよな。
とにかくやってみて、でもダメで「やっぱり、やるんじゃなかった」「もっと準備しておけばよかった」、そんな後悔とガッカリの失望した気持ちを味わいたくないし、情けなく落ち込んでいる自分を、客観的に感じたくもない。
だから、確実に結婚までいけそうな相手としか付き合えないし、確実に長く住める家しか契約したくないし、確実に合格できると思えるまで試験は受けたくないし、確実に自分に合う服しか買いたくないのだ。
付き合うくらい、いいじゃないか。付き合ってから判断すればいい。
家も、まずは住んでみてから次を探すなりなんなりすればいい。
テストも、駄目で元々、買い物だって、買ってみていろいろ研究すればいいじゃない。
まず、やってみないと話が始まらないよ。
・・・うん、分かる。
そもそも、それくらい失敗したくない人は、100円のものを買うときでさえ、考えるのよ・・・
1枚の服を買うときも、当然のごとく散々悩むわけで。かと思えば、いつも買ってる好きなお菓子やパンといったものは、多少高くても迷わず買う。
要は、慣れだ。
いつも買っているものは、慣れているから警戒心がない。その商品がどういうものかよく分かっているし、それを買うことで自分が喜ぶのが分かっているから。
慣れたものは、何も考えずに行動できる。
しかし、慣れないものの場合、どうしても悩むし、考える。それこそ、たとえ100円であっても。
失敗を避けてきた人は、経験の範囲が少ないからこその、この「慣れ」というものが少ないんだろう。
失敗を恐れて経験しないからこそ、慣れが増えない。
慣れが少ないからこそ、気軽にできない。何事も慎重になりすぎる。
たったひとつの選択を、ものすごい深刻なものとして受け止めがちなのだ。
でも、みんな、多かれ少なかれ、ある程度の確実性は求める。当然、リスクは低い方がいい。
例えば、投資。
多くの人が、もっと資金をためてから、もっと勉強してから、そういっては先延ばしにし、なかなか買ってみるという行動に移せないでしょ。
お金に関することは慣れないことだし、それこそ投資というものは、子どもの内から経験を積めるようなものではない。誰しもが成人してから、の初心者である。
やり慣れないこと、初めてのことだから、決断・行動にも時間がかかる。
やっぱり根底は同じ。
悲しいけど、結局、人生は経験がものを言うんだなと分かる。
さて、足りない経験を、どうするか・・・