仲のいい人との間にあっても、ふと沈黙が訪れることがある。
それまでしゃべり続けていたのに、例えば、ご飯を食べるとか、飲み物を飲むだとか。
ちょっとした時間ができる。
そういう間があるのは当たり前だし、比較的仲のいい人だと、いつもしゃべっている時間、少しは黙っている時間があってもいいと思う。空気が止まる、我に返る時間。
でも、そんなに仲が良くない人との間に訪れる沈黙という間は、どうにかならなものだろうか。
その間に、すごく罪悪感、気まずさを感じる。
そもそも、私はこれまでにぎやかだった人に、間を持ち込んでしまうタイプの人間だ。
ものすごくおしゃべりな人以外だと、さっきまで他の人と快活にしゃべっていた人も、私といると、別人になったかのように、ものすごく黙る。
何、あれ。
これまでのように、普通にしゃべればいいのに。
なんで黙る?
やはり、向こうも、何かを感じ取っているのだろうか。
今さっきまで話していた人とは違う、何かを。
向こうがそんな感じで黙ってしまうものだから、こっちも居心地悪くなる。
だから、頑張って何かを話そうとするけど、黙らせてしまう空気を持ってきてしまう人間だから、普通の会話ができない。できても続かない。そもそも、何を話せばいいか分からない。
打てば響く反応ができない。
でも、よくよく考えれば。
さっきまで普通に話していたのは、あっちなんだけど。
どうしてこっちが、頑張って気を遣わなければ、ならんのだろう。
普通、さっきまで話していた人と同じように、むしろ、自分は区別も差別もしてないですよ、という雰囲気を出すために、向こうが気を遣って、何か話してくれればいいのに。
どうして、私が、さっきまで気持ちよくしゃべっていた、向こうさんの機嫌を取るかのように、気を遣ってやらねばならんのだろう。
いや、別に、遣う必要なんてないんだけどね。
好かれたい、いい人だって思われたい。もちろん、そんな気持ちが全くない訳ではないけれど。
こっちは、多少は気を遣って、何か少しでも楽しませよう、退屈にさせたくない気持ちがあるのに、向こうは一体、あの沈黙の中で何を考えているのだろうか。
こんな人(私みたいな人)とでも、盛り上がれる話は何だろう?何の話をふればいいんだろう?そもそも、共通点はあったっけ?
などと、思考を巡らせて考えてくれればいいんだけど。
傍から見たら、ものすごく静かな間。
しかし、どちらも見えないけれど、頭の中はものすごく動いている気がする。
あまり親しくない相手との間には、口ではなく、思考ばかりが互いに回転しているのかもしれない。